娘の大会で横浜を訪れていた日のこと。
姉が「行ってみたい!」と言って向かったのが、元町のメイン通りを外れた坂の上にある器店 altoyo。
まだ時間があったので行ってみることに。
元町 altoyo で出会ったひととき
こじんまりしているが、空気が澄んでいて透明感のある優しい空間。
ちょうど店員さんがクリスマスツリーの飾り付けをしているところだった。
日本各地の作家さんの器が並び、その中に姉妹で同時に惹かれた作家さんの器があった。
姉の誕生日プレゼントをまだ渡していなかったので、
姉の器を選び、私は悩みに悩んでいったん保留にすることにした。


坂の上に静かに佇む店「altoyo」



余白が美しい、透明な空気が流れる店内。
山本一仁さんの工房を訪ねて埼玉県ときがわ町へ
後日、私たちが気に入った器の作家さん、山本一仁さんの工房が埼玉県ときがわ町の山奥にあると知り、
紅葉狩りがてら姉とふたりで弾丸ドライブへ行くことに。
ときがわ町は “水のきれいな町” としても有名で、
澄んだ空気と緑に包まれながら山道を進んでいった。

山を登っていくと、看板が。
山奥の工房に着くと、最初に出迎えてくれたのは…山羊



到着して車を降りると、駐車場が。そしてその奥には、山の静けさの中で、山本さんの工房と大きな木の小屋のギャラリーが佇んでいた。
反対側の野原の斜面には三頭の真っ白な山羊たちが、こちらを見つめてくる。
ツノは短くカットされていて、表情がとても穏やかで優しい。
手を出すと、鼻をちょん…とくっつけてくるし、
すりすりしてきたり、猫みたいに甘えてくる。
人懐っこくて愛嬌たっぷりで、もうこの時点で癒されてしまった。
可愛い。ちなみに山羊はいつかは一緒に暮らしてみたい動物ベスト3に入る。

ギャラリーの中に広がる、山本さんの世界
ギャラリーの扉の取手は陶器でできていて、
さりげないけれど、とてもおしゃれ。
中に入ると、あたたかい日が差しこむ木の小屋に、
山本さんの作品がずらりと並んでいる。
同じシリーズでも、形・模様・曲線・高さ、どれも少しずつ違う。
手仕事ならではの“揺らぎ”が、愛着につながるのだと思う。
ちょうど他のお客さんがいて、どうやら飲食店を営む方のようだった。
こだわりの食器を使う人って、やっぱり職業柄の目があるんだな…と横で感じながら、
私たちもひとつひとつ手に取って眺めた。
山本さんは、ギャラリーと工房を行ったり来たりしていて、
常に忙しそうにしていたが、
私たちを見つけると、
「こんにちは。どうぞ、ゆっくり見ていってください。」
と声をかけてくれた。

ここが入口。

陶器の取手

ギャラリー前の、中庭のようなエリア。
「ご自由にどうぞ」の優しさに満ちたギャラリー
ギャラリーの片隅には、ウォーターサーバーとティーバッグ、
そして山本さんの器が置かれている。
「ご自由にどうぞ」と。
冷蔵庫には、奥さまの手作りのお菓子まで。
食べたい人は、備えつけの器とフォークをどうぞ、というスタイル。
シュガー入り・ノンシュガーのコーヒーも選べる。
ウェットシートや紙ナプキンも置いてあって、本当に細やか。
絵本なども置いてあって、お子さん連れでも子供が飽きないよう、という心遣いが伝わる。
この空間全部から、
“ゆっくり見ていってほしい”
という優しさが伝わってくる。
ちょうど他のお客さんが帰り、ギャラリーが私たちふたりきりになったので、
「どうぞ、ごゆっくり見ていってください。
何かあったら、このインターホンを鳴らして呼んでください」
といって、山本さんは奥にある工房の方へと消えていった。
よくこんな見ず知らずの人間を、
自分の大事な作品が並ぶギャラリーに置いていけるなあ。
と姉と話したが、
そんなところからも、山本さんの柔らかな人柄が伝わってきて、
ギャラリー内を温かさでほっこりと包み込んでいる感じがした。
私たちはお茶を飲みながら、2時間近くゆっくり器を選んだ。


とても優しい心遣い。

こちらが奥様お手製のお菓子。

絵本がいろいろなところに置いてある。


屋根裏部屋からの写真。ハンモックまで置いてある。

暖かな気持ちで満たされ、心が幸せに
姉はスープボウルを選んだ。私が欲しかった平皿は、ちょうど品切れ。
だから今回は、同じシリーズの足付きの器を選んだ。
お会計のためにインターホンで呼ぶと、
山本さんが工房からすぐ来てくれて、器たちを包んでくれる。
「観光に来られたんでしたら、この山をさらに登っていくと、
展望台がありますよ。眺めがいいので、いってみてください」
と教えてくれた。
そのうえなんと、リム皿を一枚おまけでくださった。
なんてことでしょう。
このいたしの空間を提供してくださって、
おまけまでつけてくださるなんて・・・!
山本さんは多くを語るタイプではないけれど、
ギャラリーの空気、接し方、山羊との暮らし、
そのひとつひとつから感じる やわらかい人柄。
器を通して、作り手の優しさに触れられた気がして、
とても幸せな気持ちになった。

お茶をいただいた時の写真。

展望台までの道のりの入り口にあった、長い枝。
杖代わりということか・・。もう山ごと優しい。



空気も綺麗で、自然も美しい。
ただ久々の山道に、膝が笑いそうになる。
でも上で見た景色を含め、いい思い出になった。
都幾の丘 高柳屋で、澄んだ水が育むうどんを味わう
工房のあとは、お腹を満たしに製麺所直営のうどん店 『都幾の丘 高柳屋』 へ。
ときがわのきれいな水で作る麺は、コシがしっかりありながら、のど越しはつるり。
天ぷらやおはぎも並んでいて、緑を眺めながらのランチは最高だった。

テラス席もたくさんある。


店内は座敷と、カウンター席が多め。

私たちはこの日、肉汁つけうどんと、きのこ汁うどんを注文。
メニューはセルフ形式で、讃岐風の弾力ある麺と、
出汁は甘めの鰹出汁をベースにした武蔵野うどん系である。

国産の豚肉を使用しているところも魅力。

きのこがたっっぷり!温泉卵もつけてしまった・・・。
製麺所直営のうどんなので、コシがあり、美味しい。
水が美味しいというのも、きっと美味さの秘訣なのだろう。
とうふ工房わたなべで、豆乳スイーツを味わう
帰り道は人気の『とうふ工房わたなべ』へ。
豆乳ソフトは濃厚なのに優しい味で、罪悪感なくするっと食べられる。
おからドーナツはほっこり素朴。
外はカリッとしているのにふかふかしていて、
甘さも控えめで食べやすい。
豆乳の甘みも身体にしみ込む。
豆腐をそのまま飲んでいるような濃厚さだ。
これだけおいしいいのに値段は良心的なのが嬉しい。
地元の大豆+きれいな水で作る豆腐は、シンプルだけど深い味わい。
水も自由に汲んでいくことができるようで、ワンちゃん連れの人も多かった。
お土産に、試食で驚く美味しかったお豆腐と、
厚揚げ、がんも、おからドーナツを購入。
旅の最後にぴったりの休憩スポットだった。


このお豆腐が、大豆の甘味がすごく感じられて驚くほど美味しかった。

店外にあるこの窓口で、ドリンクやデザートを購入できる。




いろいろな商品を試食させてくれるのでありがたい。

私たちが食べたのはこの『どーなつサンド』450円。
ドーナツを半分にしてソフトクリームを間に挟んであるという斬新なスタイル!
あんこも甘すぎず、とっても美味しい。

パラソルの下にベンチやテーブルが置いてあり、
自由に座ることができる。

ここで水を汲んでいける。
まとめ|器と自然と人の優しさに触れる、ときがわの旅
器との出会いから始まった小さな旅。
山の工房、優しい職人や可愛い山羊たち、清らかな水で作られるうどんや豆腐。
“優しさ” が、旅の中でずっと連鎖していくような一日だった。
家に帰って器を手にした瞬間、
その背景にある景色や空気、人柄も一緒に思い出せる。
そんな器がこれからの暮らしに寄り添ってくれると思うと、
胸があたたかくなる。大事に、大事に、使っていこう。
昨日行ったけどもう行きたい。
そう思わせてくれる旅になった。

こちらが購入した足つきの器。ひとつ1600円。

おまけのお皿。これがまた素敵で、何枚も欲しくなる。
各店舗の情報
| スポット名 | 住所 | 営業時間 | 定休日・備考 |
|---|---|---|---|
| altoyo(器屋) | 横浜市中区山手町 52-7 | 水・木・金 11:30〜16:00 / 土日祝 11:00〜18:00 | 定休日:月・火 |
| 山本一仁(弓立窯/ギャラリー第三倉庫) | 埼玉県比企郡ときがわ町大附 354-2 | Instagramによれば「gallery第三倉庫」は日曜もオープン(18時までなど) | 予約・来訪前はInstagram(@yumitategama)で開館状況を確認推奨 |
| 都幾の丘 高柳屋(うどん店) | 埼玉県比企郡ときがわ町玉川 1338 | 店内飲食10:30〜15:00 売店10:30~17:00 | 定休日:毎週水曜日 + 月1回日曜あり(不定休) 駐車場:50台 |
| とうふ工房 わたなべ | 埼玉県比企郡ときがわ町番匠 372 | 平日 9:00〜17:00 / 食事コーナー(氷菓子工房)は、休日:9:00〜16:00、平日:10:00〜15:30 | 原則年中無休 電話番号:0493-65-0070 / 駐車場あり(複数台) |
※altoyoのInstagram→https://www.instagram.com/altoyo__store?igsh=Y2hmbHVhMmJra2Jj
山本一仁さんのInstagram→https://www.instagram.com/yumitategama?igsh=MWg3c3R6dXRwd3Y0ZA==
旅に関しての他の記事はこちら→おなかも心も満ちていく ときめきと美味しさが詰まった鎌倉・江ノ島食べ歩き旅✨前編 おなかも心も満ちていく ときめきと美味しさが詰まった鎌倉・江ノ島食べ歩き旅✨後編
おまけ

このうつわにおいしいごちそうをいれてくれるのおかーさん



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