冬の夜更けに夢中になる3冊の物語──静かに迫るサスペンスたち

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忙しさにかまけてブログが滞りがちになってしまっていたが、

読書はしっかり毎日継続中。

すっかり季節は冬になって、朝晩の冷え込みが激しくなってきた。

寒い季節、静かな部屋で読むサスペンス、ミステリーほど沁みるものはない。

今回は、私、月子が、先が気になってあっという間に読み終えてしまった、

夢中になれる3冊の物語をご紹介。

 夜更けに読み進めたくなる物語

『禁忌の子』/山口未桜(東京創元社)

救急医・武田のもとに運ばれてきた“身元不明の溺死体”。

その顔を見た瞬間、武田の鼓動は止まりかける──遺体は、彼自身と瓜二つだった。

死んだのは誰なのか?なぜ自分と同じ顔を?

旧友の医師・城崎とともに真相に迫る中、鍵を握る人物が密室で変死。

断片的に見えていた謎は、武田自身の過去へとつながり思わぬ真実へ収束していく。

医療のリアリティと本格ミステリが絡み合う、鮎川哲也賞受賞作。

まず、すごいのが、この小説の著者は医師であるということ。

医師ならではの医療知識や現場の描写があることで、

リアリティと緊張感を楽しむことができる。

自分がもし当事者ならどうするだろうか、など考えてしまう。

愛ゆえに人は という言葉をよく聞くが、まさにその一言が出てしまう作品でもある。

安易な軽さではなく、重めで深いテーマのミステリーが読みたい人や、

医療ドラマや倫理もの、ヒューマンドラマとしてのミステリーも好きな人などにおすすめ。

人間の深みに触れたくなる物語


『BUTTER』/柚木麻子(新潮文庫)

“資産家の男性を手玉に取り、殺害した疑いの女”──そう報じられた梶井真奈子。

若くも、美しくもない彼女が、なぜ多くの男性を魅了できたのか。

週刊誌記者の町田里佳は、真奈子との面会に踏み切るが、

そこで告げられたのは「料理を作れ」という奇妙な条件だった。

真奈子の言葉と手料理が里佳の価値観を揺さぶり、

いつしか里佳本人が犯人の真奈子に似てきてしまう・・。

そしてその変化は次第に友情、恋人関係、人生観さえ変えていく。

食と女性、欲望と支配。濃厚なテーマが胸をざわつかせる社会派長編物語。

物語はリズムよく進んでいくが、

一冊を通して出てくる、バターを使った料理の描写の数々が、

とにかく美味しそうで、想像力と空腹感を掻き立てる。

真奈子と里佳の時間が重なっていくにつれ、

お互いやそれを取り巻くひとたちの心理描写も変化していく様が面白い。

残酷なシーンなどはさほどないので、読みやすい本とも言える。

なかなかの長編だったが、読めば読むほどに味が出てくる、そんな一冊。

背筋がすっと冷える、実話を元にした物語

『家族』/葉真中顕(文藝春秋)

幼い頃から“他者を操る手つき”に長けていたひとりの女。

彼女はやがて血のつながらない“疑似家族”を作り上げ、

愛と依存と支配を巧みに絡めながら、犯罪へと足を踏み入れていく。

警察の“民事不介入”という盲点を突いて成長していくその共同体は、

果たして愛なのか、恐怖なのか。

読むほどに心が冷たくなっていく、心理サスペンスの傑作。

この小説は、2012年に発覚した尼崎事件を元に作られた、

恐ろしく、リアルな『家族』の物語だ。

人は、愛に飢えてしまっていることから、

寂しさや満たされない心を持ち合わせる。

そして色々なことを引き寄せてしまう。

SNSでも話題になっている本だったので買ってみたが、

300ページに及ぶ一冊を、二日で読み終えてしまうほど没入感があり、

するすると読んでしまう。

残酷なシーンや暴力的なシーンもあるため、苦手な人にはおすすめしないが、

事件を通して、人の心理に訴えかけるものを感じる一冊。

ちなみに、尼崎事件に関する情報はこちら。

作品の背景理解のために参考としてリンクを提示します。↓

https://ja.wikipedia.org/wiki/尼崎事件

まとめ

今回紹介した3冊は、どれも“静かに心を揺らす”タイプのミステリー。

じわりと迫ってくる不安や違和感が魅力。

どの作品も、「家族」や「愛」が紐づいているように思う。

夜のひとり時間、コーヒーや紅茶と一緒にゆっくり読むのがおすすめ。

ゾワゾワしたり、その中でも感じることがあったらぜひ聞いてみたい。

ついついサスペンスやミステリーを手に取りがちだが、

ほっこり系や勇気をもらえる本などの紹介もしたいと考え中。

読書をしたいあなたの、気になる一冊が見つかれば嬉しいです。

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おまけ

あの・・・、撮影中なんですよ先輩

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